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色絵
第2章 入門
先生が振り向いて笑顔でいるのでホッとする。

「命にはね、限りがあるんですよ…
だから華がある。

その素晴らしさや美しさをとどめておきたくて筆をとるんです。

だからね、今が大事なんですよ。」

諭されるように話されて、ワタシは黙って頷いた。

ワタシの華は何時なんだろう。過ぎてしまったのか、これからなのか…

「奥さん…
人間には、一瞬の華の時期なんてないですよ?
いつもが華…
今が大事なんです。

それに奥さん控えめで、物静かな方だから、
薔薇のようなくどい美しさではないですけど、

そうね、花に例えるなら…

水仙、寒い冬も、凛として花を咲かせるような…
美しさがありますよ。

僕には、その美しさが見えるんですけどね。
僕は薔薇より水仙の方が好きですね。」


慰めかお世辞か以前に、間接的に告白されたような言葉に、思わずまた立ち止まってしまう。
顔が真っ赤になってしまう。


「絵のこと以外となると、僕も口下手で、わけわからないこと言ってますね。
収拾つかないから、今日はこの辺にしますか…」

先生に促されて屋敷に戻る。
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