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色絵
第4章 色付け
「肌が荒れてしまうから、絵の具を落としますよ、じっとしていてくださいね。」

有無を言わさず先生の手が肩に置かれた。意外に温かい手だった。
濡れた布で拭かれていると思う。


夫にも誰にもこんなことをしてもらうことはない。

布越しに先生の指が触れる。心臓が止まってしまいそうだった。

胸の境目も拭かれる。

ンハッ…

「体もとても感じやすいんですね。」

先生は視界に入らないようにしているようだ。

何でもないこと…体にいくら言い聞かせても反応は止められず、ジュンっと蜜が溢れた。

「とてもいい色になりましたね。では無理せず辛くなったら言ってくださいね。」

パラッ…隠してあった紙が外された音。

それからは、僅かな筆の音だけの世界になる。

静寂の中で、ワタシは先ほどの体を這う筆の感触、先生の指を忘れる手段がない。

ずっと筆でまさぐられ続け、指が触れる感触が駆け巡る。

絵の具を落とす指がワタシの欲を掻き立てるのだ。

油絵と違い、絵の具が乾いてしまうと同じ色が出ないと教わった。だから同じ部分はいっぺんに仕上げないとならない。ベースの色を何色か作り、色を足して、隆起や窪みの立体感を出す。
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