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色絵
第6章 開花
玄関のドアを開けると、アトリエから「どうぞ」と声がしたので、衣装部屋にいき着物姿になる。

「失礼します。」

毎日のこととなった一連の流れだけど、今日が新たな一歩と気を引き締めた。

カーテンは閉められ、部屋は白一色だ。

「牡丹の2枚目に進むんだね。もう後戻りは出来ないよ。」

「はい」

ワタシははっきりと答えた。

「今度の牡丹は貴女一人でなく、男の存在つまり僕がいるということがわかる作品にしたいんだ。」

先生が自分を描き足すということだろうか…
具体的なイメージは湧かないが、

「お願いします。」

と答えた。

先生と居る証が残る。それは最も望んでいたことだった。


「では、帯を全て外しなさい。」

柔らかい口調だけど命令形…
まるで、催眠術にかかったかのように頭でなく体が反応する。

ワタシは先生と対面して立ったまま帯を外す。
先生も今までのように、見ないようにするのではなく。

腕組みした片手を肘つきするようにあげ、顎から口にV字にした親指と人差し指を当てていた。

つまり値踏みするときのような仕草でワタシをじっと見た。


ワタシも見てくださいと言わんばかりに帯を外していった。
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