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【SS】目が覚めたら…?
第1章 お正月に目覚めたら。
 

 頼られるほどのお医者さんであるハル兄。


 あたしが連れていってあげなきゃ。

 必要とされている事実を知りながら、あたしは人ごとだからと、ただ黙って見ていられない。

 医者としてのプライドがあるハル兄としては、まるでらしくないこの駄々を、なんとかできるのは多分……あたしだもの。
(だって他に"見える"ひといないもの)


「ハル兄、病院行こう? ね?」

 こっそり言うが、ハル兄は訴えるような涙目で頭をぶんぶんと横に振る。

 いつものような高飛車ではないのが、なにかおかしい。

 おかしいのは、医者としての正道を進むことを勧めるあたしの方?


「あたしも一緒についていくから。だからね?」


 半ば自棄だ。

 ハル兄に子供扱いするなと怒られること覚悟で言ってみたら、


「……今から30分以内に行く。いいか、俺様が出たからには、時間かけさせねぇぞ」


 なんと、ものの数秒で意見を変えた。

 そしてあたしを見る。


「お前が俺と共に来るなら話は別だ」

「なんでまた……。お仕事にあたしは関係……」

「新年最初の日。今日は……お前と一緒に居るって決めてたから。だから……どんなことがあっても、離れたくねぇ。どんな邪魔があっても俺はお前と居る」


 甘えているような切なそうな……そんなハル兄の表情に、



「――新春特別サービスだ。

お前を甘やかしてやる。


今日の俺は……お前のオトコだと思え」


 
あたしの心臓はドクドクいった。



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