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【SS】目が覚めたら…?
第6章 【2000拍手突破感謝】Ⅰ.帝王の憂鬱
「は、波瑠兄。しーちゃんの部屋には行かない方が……」
仕事で帰れぬ日が続き、しばらくシズを抱いていない。
だから餌補給係は専らナツとだろう。
……考えたくはねぇけど、俺の代わりがいるのが現実だ。
「さすがに僕も萎えるほどの……魔除けが」
「魔除けなど、俺には効かん」
俺は目を細めて……佐伯家二階に割り当てられた、シズの部屋に行った。
「がんばって……」
ナツは引き攣った笑い顔を見せて、手を振って俺を見送った。
……ナツが、俺を後追いできないほどの魔除けってなんだ?
ノックもせずに開けたドア。
がんがんに聞こえてきたのは、耳障りがいいだけのへたくそな歌。
「あぁ……んっ、ハル……」
その中から聞こえてきた、蕩けるようなシズの声。
そして、絶句。
シズの部屋には、やたらとオトコのポスターが貼られていたからだ。
壁は勿論、天井にも。
常に、色々な方角から視線を感じて落ち着かねぇ。
それだけじゃねぇんだ。
布団カバーもそのオトコの貌が沢山プリントされているし、ベッドに処狭しと並べられた大小人形の胸元には『Haru』、サイドテーブルやローチェストの上にも『Haru』と書かれたうちわなどグッズ諸々。
一番許せねぇのは、ベッドで転がっているシズが、その俺様とはまるで違う……やたらはだけた体の優男がプリントされた抱き枕に抱きついていたことだ。
俺様ではない、ナツともまた違うタイプのオトコに……。
俺は、音楽を大きなスピーカに流しているスマホを止めて、至近距離からシズを見下ろした。
「や、やぁぁん、入る時はちゃんと……」
赤い顔をしたシズが、俺を見て慌ててもぞりとみじろぎした。
……なぜ赤くなる? なんで下半身を動かした? お前、今手……どこから出した?
「シズ……お前、オナってたのか?」
俺は冷ややかに聞いた。