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【SS】目が覚めたら…?
第6章 【2000拍手突破感謝】Ⅰ.帝王の憂鬱
  

「お前がオナりたくなるのは、俺様ではなく俺様の名前にだったのか?」

「ち、違……っ」

「その手がスカートの下から出た理由は?」

「……」

「言えない理由は?」

「………」

「オナってたんだろう、ここのオトコに」

「違うってば!! ……下腹部、ぼりぼり掻いてたの。おばさんのように……。一応これでもあたし女の子だから……ああ、見られるなんて恥ずかしい…」

 語尾は弱々しくなり、シズは赤くなる。


 これが、オンナ達がよく俺に言う、俺が理解出来ねぇらしい"オンナゴコロ"という奴か。


 まったく、なにをシズが恥ずかしがっているのか理解できん。

 俺には、俺に食って欲しいとモジモジ…据え膳になっているようにしか見えん。


 いやいや、そんなことより。


「汝、オナってないと言い張るのなら、汝が過去、オナっていたオトコをすべて述べよ」

「へ?」


 ほら言えよ。

 思い出せよ。


 お前がひとりでエロいことをしてまで、求めていたオトコは誰だ?

 ……違う奴の名前が出たら、絶対許さねぇけど。


「述べよ」

「……っ」


「オラっ!!」

「ひっ!!? ……ハル兄……です」


 俺だけの名前に内心ほっとしながらも、


 "ハル兄"


 いまだ兄貴の呼称に、胸がもやもやする。


 俺は、オトコとしていまだ呼び捨てられねぇ、哀れなオトコだ。

 それが、無性に悔しくて。


 俺がオトコだということを。

 お前をきっちり抱いてイカせているオトコだということを。

 お前を妹ではなくオンナとして意識しているということを。


 いまだ信じさせることもできねぇ、不甲斐ねぇこの俺に、嫌気がさして。


 俺はお前に惚れまくってるんだよ。

 お前に発情するオトコだと、お前との未来を夢見るオトコだということを、意識しやがれ!!

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