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【SS】目が覚めたら…?
第7章 【2000拍手突破感謝】Ⅱ.王子の憂鬱
大好きな(僕は大嫌いな)Haruを波瑠兄に燃やされ、跡形もなく消し去られ……、しーちゃんの嘆きと悲しみ、そして多大な怒りは半端なかった。
泣き騒いで逆上して、ストライキ。
波瑠兄も僕もそこまでのものになるとは思わず、驚き慌ててただあたふた。ゴミ袋を持って来た僕も同罪だと、僕も無視されて暫く部屋に引き籠り。
精液を絶てば命にかかわるしーちゃん。
僕達が濃い精液を発するにも至らない状況。
ひとつ屋根の下、愛しい女の子に指一本、髪の毛一本も触れられない。
触れれば、本気でがぶりだ。
口から入れるお料理の栄養素が、どれほど淫魔の体に効果があるのかはわからないけれど、サクラづてでようやく(裏から)とってきたプラチナチケット、東京ドームでのSeasonのコンサートチケットを渡したら、なんとかお食事にだけリビングに降りてきてくれるようになった。
だけど波瑠兄には全然見向きもしない。
波瑠兄がお金出したんだけど、それは関係ないみたい。
普段の波瑠兄ならば逆ギレして、力任せに言うことを聞かせるのだろうけれど、辟易しすぎて力を失った波瑠兄は、なにをしても空回り。
波瑠兄がしーちゃんを顔色を覗うなんて異常事態。
だから嵐なんだよ、外。
しーちゃんと波瑠兄の仲が悪くなったら、ラッキーなんていう考えは僕には浮かばない。それくらい波瑠兄の落ち込みは酷いし、なにより僕は波瑠兄が大好きだから。
だから僕は波瑠兄を元気づかせるために、丸くなったその逞しい背中をすりすり摩ってあげたら、波瑠兄は潤んだ目で僕を見て、そして僕の手をぎゅっと握ってくる。
麗しき兄弟愛。
僕は波瑠兄の切ない気持ち、ちゃんとわかっているから。
だって僕、波瑠兄の弟なんだから。
苦しいね、寂しいね。
だけどきっと神様が見ているから、頑張ろうね。
元気を出して、ね?
「ナツ……」
「波瑠兄……」
カタンと音がすればしーちゃんで。
なにか飲み物を取りに来たらしいけれど、手を握りあって至近距離に顔を寄せ合っている僕達を見ると、目を真ん丸に見開き、慌ててパタパタと部屋に戻っていく。