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【SS】目が覚めたら…?
第7章 【2000拍手突破感謝】Ⅱ.王子の憂鬱
「……で、なんで俺の家に?」
絨毯が敷かれた床に体育座りをしている僕に、サクラは椅子に座ったままで声をかけてくる。
「どうすれば……しーちゃんと元の関係に戻れると思う? どうやったら僕をオトコとして意識させられるのかな」
サクラは艶やかな黒髪をさらりと揺らして、メガネのフレームを人差し指でクイクイと直す。
サクラの色彩は黒。僕のように緩くパーマをかけたり染色したこともなく、生まれ持ったその清潔感ある美貌は清々しいほどの、正統派の美少年。
心許さぬ者達には人当たりいい笑顔を見せるけれど、心許した者達には素を見せ、幾分か冷ややかで無口になる。
僕とは逆だと波瑠兄は笑うけれど、そうした裏表の面があること承知で、サクラとはウマがあう。馴れ合いを常にしないところが特に。
僕もサクラも群れるのが嫌いで、浅く広い交友関係をもつくらいなら、ひとりでもいいから波長の同じ友達と深く接したいんだ。
孤高の美少年、佐倉桃――。
オトコの僕から見ても絶対サクラは格好いい。
サクラが憧れる波瑠兄のようなオトコ臭い…野性的な逞しさはないけれど、理知的でミステリアスな彼は、優しいし頭がいいし、いつだって僕の自慢。
僕が昔からしーちゃんのことを相談できた、唯一の親友なんだ。
「あのひと……きっと緊張感がないんだよ」
「緊張感?」
「ああ。きっとお前達に愛されるのが当然の環境だから、今関係が悪化したように見えても、お前が感じているほどの危機感もなにも感じていないと思う。というか、普段からあのひとがちゃんと考えて行動しているようには見えないけどな。なんだかいつも行き当たりばったりで」
「でも、僕がしーちゃんが好きなのは当然だし、今さら……」
そして僕ははっとした。
「もしかして、マンネリ……みたいなものかな」