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【SS】目が覚めたら…?
第7章 【2000拍手突破感謝】Ⅱ.王子の憂鬱
「まぁ……近いんじゃないか? だったらあのひとの心をぐっと揺さぶるような、刺激的なものを呈示すれば、単純なあのひとのこと、それまでの感情を忘れてふらふらとお前のとこに来るだろうさ」
サクラは優しく笑う。
サクラは変わったように思う。
昔は僕にも喜怒哀楽が乏しくて、冷たさを感じさせる態度だったけれど、今では柔らかく笑うんだ。
……特に、しーちゃんの話題に関しては。
もともとサクラは知り合いだったという気安さがあったせいか、女嫌いのくせにしーちゃんだけは例外で、しーちゃんにだけは素を見せていた。
しーちゃんのことを"あのひと"と表現するサクラは、しーちゃんのことになると、確かに面倒臭そうな表情はするけれど……大方、本当に面白そうに優しそうに笑うから、僕は妬いてしまうんだ。
サクラと、しーちゃんに。
僕とサクラの付き合いの方が長いのに、簡単に入り込んだしーちゃん。
僕としーちゃんの付き合いは長いのに、簡単に入り込むサクラ。
僕の見えないなにか強い絆があるような気がして。
僕が置いて行かれた気がして。
だけど思う。
サクラもしーちゃんも、僕が悲しむようなことはしないって。
僕が大好きな人達が仲いい様をみるのは嬉しいと、そう思えばいいだけだって。
ねぇ、サクラ。
僕達は、親友だ。
なんで楽しそうにする反面、時折苦しげに笑うのか、なんで急に大人びた表情をするようになったのか、いつか……僕に聞かせてくれるかい?
僕は、お前の力になれるかい?
僕のように、僕を頼ってくれるかな?