この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【SS】目が覚めたら…?
第7章 【2000拍手突破感謝】Ⅱ.王子の憂鬱
・
・
・
・
「あさってライブ、楽しみぃぃ!!」
許すまじ、Season。
最近僕が見ていない可愛いしーちゃんの笑顔を独り占めするなんて。
せめてNatsuとやらが格好よくてしーちゃんが夢中になってナツナツ騒いでくれれば……いやいやそれも嫌だ。僕がいるのに、こんなに好きでたまらないのに、どうしてしーちゃんはよそ見するんだろう。
「化粧水よーし、ぴちぴちお肌でHaruと会って、グッズをもう一度買ってこなきゃ。あの抱き枕ないと眠れ……ナツ!?」
ようやく捲ってくれた布団の中。
驚いて遠ざかってしまったしーちゃんに、にっこり微笑んだ。
「さあ、ふわふわもこもこの抱き枕だよ? 僕をぎゅっとして?」
僕は……真っ白なウサギさんの着ぐるみパジャマを着ている。
肌触りのいい、マシュマロみたいなマイクロフリース。
僕が被っているフードにだってちゃんと長い耳が、お尻にも丸い尻尾がついている。
耳と尻尾はリアルな長い白い毛でふさふさしていて、思わず触りたくなるような代物。本当はしーちゃんに着て貰いたかったけれど、しーちゃんが僕に触ってくれるのなら、僕が着ててもいいんだ。
しーちゃんの瞳が揺れている。
いけるか!?
「ぴょんぴょん」
長いお耳を手で摘まんで動かして見ると、しーちゃんの足が一歩僕に近づいたが、躊躇うようにして止ってしまう。
「う、う~さ~ぎ、美味し、かの山~」
突然歌い出したしーちゃん。
うさぎ"追いし"だよ。
食べちゃったらだめだよ。愛護団体さんに怒られるよ?
ウサギの僕を拒絶したいの?
それとも――。
僕を食べちゃいたいっていう意思表示?
それなら大歓迎。
だったらこれはどう!?
僕はベッドの上で四つん這いになって、しーちゃんにお尻を向ける。
お尻には、丸いウサギの可愛い尻尾。
ふりふり、ふりふり。
お尻を振ってしーちゃんを窺うと、しーちゃんは胸の前に両手を組んで、目がキラキラ。
僕は知っているんだ。
しーちゃんはふさふさ系の動物が大好きだということ。
しかも、ふるふると震えているような小動物に弱い。
だから目指せ!!
ウサギ姿でしーちゃんをKO!!