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【SS】目が覚めたら…?
第8章 【2000拍手突破感謝】Ⅱ.執事の憂鬱
「――で、なんで俺の家に?」
もう一度聞いてみる。
ただ愚痴を聞いて貰いにきたわけではないのだろう。
それくらい察するだけの付き合いはあるつもりだ。
ナツからうまくいったと連絡がこないから、ある程度は予想はしていたんだ。……こうした結末。
「Season、とりわけリーダーのHaruについて」
波瑠さんが攻撃的な目を細めて言うから、俺はさっきまでまとめていた資料をすっと差し出した。
「さすがはサクラ」
にやり。
ふたりが同じような表情で含み笑い。
俺が調べたところによれば、SeasonのHaruというのは、営業用と素顔がまるで正反対らしく、営業用はいわばナツのような王子様スタイルだが、素顔は波瑠さんのような威圧的な帝王スタイルらしい。
ナツと波瑠さんの両面を併せ持つから、あのひとは惹かれているのだろう。多分、本能で。
「随分と……事務所がもみ消してきたんだな、こいつの乱行。おぅおぅ、かろうじてヤクに手を出さないだけで、なんとも暴れ放題。やんちゃ通り越して、俺より黒歴史あるんじゃねぇか? 俺、ムショに送還されかかったこともねぇぞ? つーか、サツの干渉なんて一度もねぇし」
サバンナの帝王は、なにをしても逃げ足が速い。
しかもハチャメチャに見えても、暴れるのは彼なりの筋があり……Haruのように、気分次第で暴れるタイプとはまた違う。雑魚キャラではない。
だからこそ皆、波瑠さんを慕うのだ。カリスマ帝王だと。
カリスマ帝王は不屈の精神で、どんな苛酷な状況においても生延びられるのだ。