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【SS】目が覚めたら…?
第2章 Ⅰ.ハル兄と……
 

「シズ……」


 切なげな表情に、どきりとする。


「ナツの着物を着て、欲情すんな。マジに甘やかしてやれなくなるぞ」


 そして信号が変わり、車が発車する。


「シズ、1時間で終らせる。終らせるから、俺にどう甘やかされたいのか考えながら待っていろ」


 病院の駐車場に車を止めると、ハル兄はあたしの襟ぐりを大きく拡げた。

 そしてシートベルトを外して覆い被さるようにしながら、胸の谷間に頭を突っ込むと……ちゅぅぅと強く吸い付く。


 谷間に出来た赤い華。


「戻って来たら、もっと吸わせろよ?」


 ど、どこを?

 恐ろしくて聞けないあたしを残して、ハル兄は色気に満ちた顔のまま、病院の建物に入っていった。


 やばい……。

 すごくどきどきする。


 ハル兄のフェロモンがまだ車内に漂い、充満している。

 くらくらとした熱気にのぼせそう。


 胸の谷間に咲いた華。

 これを見ればきっと誰もが深く特別な関係だと思うだろう。


 体が疼く。

 体が熱い。


 ハル兄の熱さが恋しくて、もっともっとハル兄を感じたくて、体が震える。心が震える。


 こんなにハル兄が欲しいと思うのに、今日はあたしの体の奥から声がしない。珍しいこともあるものだ。


 だったら、ハル兄を求めるこの気持ちは、100%あたしの気持ち。



「ハル兄に……抱かれたい」



 あの逞しい体でぎゅっと強く抱きしめて貰いたい。

 肌と肌を重ねたい。

 汗ばんだ互いの体をもっと溶け合わせたい。


 唇を合わせたい。

 舌と舌を淫らに絡み合わせて、ハル兄の喘ぎ声を聞きたい。


 ハル兄が感じている……眉間にきゅっと皺を寄せる表情を見たい。



 ああ、なんてあたしは淫らなんだろう。



 なんでこんな気持ちになっちゃうんだろう。

 ハル兄、早く帰ってきて……。



 そんな時だ。

 子供の泣き声がしたのは。




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