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【SS】目が覚めたら…?
第8章 【2000拍手突破感謝】Ⅱ.執事の憂鬱
 

「強行突破という手もあるが……」

「不審者と思われるのも癪だよね」


 どうにかすんなりと中には入れる手段はないかと相談していたら、ゲートの一角にてガードマンともめている若い男が目に入った。


「なんだ? Haruってのは、オトコにも人気あんのか?」

「いや……なんだか様子が違うよ、波瑠兄……」


 俺は耳をそばだてた。



 そして十分後――。



 僕達は近くの喫茶店に居る。

 ガードマンともめていたのは、相楽(さがら)という22歳の、自称ミュージシャンだった。


「――つまり」


 それまで眉間の皺を寄せながら腕組みをして聞き手に回っていた波瑠さんが、相楽さんが語った言葉をまとめた。


「本来ならば、ドーム公演がない日時には、区への事前申請を持ってドーム前のメインストリートでバンド演奏も可能であり、その許可が下りたというのに、1週間前、突然不許可の再通知が来たと」


「はい。ちゃんとこちらとしてもドームの事務の方に連絡して予定がないことを確認した上で、下りた許可でした。そこでいつなら演奏できるのかを区に問い合わせたところ、僕だけはこれからも許可が下りない、ドーム側からのクレームがあると」


 どうやら俺達は、Seasonの視察に来て、個人のトラブルに巻き込まれたらしい。


「僕は今までトラブルを起こしていません。演奏も今回が初めてなんです。ドームの事務局に電話で問い合わせても要領を得ないので、きちんと出向いて対面して説明をして貰おうとしているのですが、連日門前払い。しかもSeasonのファンと間違われて……」

「相楽さんだけが、突然許可が取り消しになってこれからも許可がでないっていうのが凄くキナ臭いよね。説明も逃げてるようだし。なにか、あったのかな」


 ナツの不穏気な言葉を俺が受ける。


「確かSeasonのドーム公演は、一週間前突然のライブ公表されたため、知らなかったファン達が騒然となり、結果プレミアチケットとなった。

"突然"とされる一週間前、それは相楽さんの許可取り消しの時期に被る。そしてその時期に宣言されたわけか、相楽さんだけが演奏許可が下りないと」

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