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【SS】目が覚めたら…?
第8章 【2000拍手突破感謝】Ⅱ.執事の憂鬱
「だろ? 素人に毛が生えたくれぇの大したこともねぇ顔で、なにがメジャーでビッグだ? 鏡をよく見てからほざきやがれってんだ。なぁ!?」
「本当本当。顔もだめ、歌もだめ、踊りもだめ。どこがいいの?」
「こんなチンケな奴らの前座になるだけでも気の毒だ。マイナーに気を使わせるメジャーってか!?」
「なんだと、てめぇぇぇぇっ!!」
当然だろうが、Haruが怒って立ち上がる。
だが波瑠さんはただ挑発しただけで、ゆったりと椅子に座ったままタバコを咥え、Haruに見向きもしない。
ああ、見るからに格が違う。
姿態からして、波瑠さんはオトコとして極上すぎた。
一般人である波瑠さんの方が、支配者たる威圧的なオーラが凄まじく、傍観していて同情したくなるほどに、Haruには芸能人としての輝きが見られない。
いや、少しはあるのかもしれないが、波瑠さんの前では霞んで見えない。
この雲泥の差、勝負にもならない。……気の毒だけれど。
「今、なんていった、お前!!」
それを認めないのは意地か、それとも目が曇っているのか。
俺は嘲るように笑い――
「メジャーでビッグな山田権太の話だが、なにか?」
フレームを指で押し上げながら言った。
「それとも、まさかあんたが潰された族あがりの権太で、ヤクザバックに"ずっきゅ~ん"なんて歌と、顔を作った気色悪い奴ではないだろう?」
「――くっ!!」
なにか打開策を見つけようとしているらしいが、思い浮かばないらしい。
怒りで真っ赤な顔は、昔からよくいる典型的な雑魚の悪役面。
やがてその目がナツに向いた。
正しくは、ナツの格好に。
「なんだ、このウサギ野郎!! お前馬鹿? 病院抜け出してきた気狂い? それともカマか? ホモか? ぎゃははははは」
「Haru、ひとの目が……」
「うるせぇな、引き立て役のくせに、俺に逆らうな、Natsu!!」
「引き立て役? Natsu?」
ナツの顔が強ばり冷たくなっていく。
……ああ、やばい。
Haruは波瑠さんに太刀打ち出来ないからと、ナツに矛先を向けたようだが、ナツがぶちギレたら……。
「もう一度言ってみろ。僕が……なんだって?
――この雑魚が」
ああ、遅すぎたようだ。