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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
「ああ……ハル兄達探さないと……」
きょろきょろ見渡しても、それらしき人物はいない。
きょろきょろ、きょろきょろ…。
「ったいわね!!」
ずしんとぶつかってしまい、女の甲高い声が聞こえた。
「あ、ごめんなさい。大丈夫……あれ、委員長?」
そこにいたのは、地味女に逆戻りしていた委員長。
誰もがSeasonにアピールするようなケバいお洒落をしている中、お下げスッピンメガネは目立つ。
それが狙いなら、かなりの策士だ。
「また貴方なの!? どこまでストーカー!?」
それはあたしの台詞なんですけれど……。
「ここにいるってことは、委員長もSeasonのファンで?」
「そうよ、悪い? 私だってHaruが好きなんだもの!!」
あたしは思わず委員長の手をとって飛び上がった。
「そうだよね、そうだよね~。やっぱりHaruだよね~」
「あ、貴方もHaruのファンなの?」
「そうそう、委員長……気が合うね、あたし達。いつもこうして出会うのも、なにか運命的なものがあるのかも……っ」
すると委員長真っ赤な顔をふいとあたしからそらし、あたしからばっと手を離すと、メガネを外してバッグから取り出したハンカチでメガネのレンズを拭き始めた。
「う、運命的というのは、タカシくんだけよ。だ、だけど、ま、まぁ……気、が合うかも知れない可能性は否定しないであげてもいい……けど……?」
まどろっこしい。
「つまりは、Haruのファン仲間がいて、嬉しいってことだよね?」
「べ、別にそこまでは……」
彼女はツン属性らしい。
「だ、だってHaruはタカシくんが勧めてくれたオトコだし」
まだ、付き合ってたのか、よぼよぼタカシくん……。
「せ、折角、勝手に仲間意識募らせている貴方に悪いけど、私はタカシくんと待ち合わせしてるの。だから貴方に構っている暇は……」
といいつつ、その目は別れが寂しそうで。
なんだ、あたしなんか相手でも、絡むと嬉しく思ってくれてるんだ?
あたしは思わず笑みを零した。