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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
「タカシくん、モテるから……。イメチェンしても、タカシくんの気が引けないから、化粧代かかるし時間もかかるからやめたんだけど、それすらなにも言ってくれないの。クールなのも、寂しいわ……」
クールというより、どうでもいい……と思われているんじゃ?
化粧しようがしまいが、もう興味はなくなってしまったのが、連絡を絶たれた事前の意思表示なんじゃ……。
「あ、あの……委員長。もしものIF話なんだけれど、例えばタカシくんが距離を置こうとしてたりとか……」
「あははは、ありえないわ。だって私達ラブラブだもの。あら、貴方……あの卑猥な彼とうまくいっていないの? 僻み?」
ああ、言っても無駄だ。
……あたしですら怪しいと思うのに、委員長はタカシくんの愛に盲目的で。委員長が、現実に目覚める気配はまったくない。
しかし――。
タカシくん、現役女子大生をフるだけの甲斐性があるのか。
あんなにぐりぐり楽しんでいたのに?
化粧すれば美しく、こんなに一途なのに?
多少……いや結構重すぎる気はするけれど。
そして――。
同じ席番号であるのに、ひとつしか出来なかった抽選。
このチケットはネットで手に入れたものだと聞いた。
それがネットオークションだとしたら――。
タカシくん、実は密かに抽選前のチケットをネットに転売していたのでは?
プラチナチケット化しているんだから、結構の値がつくはずだし。
そのお金で、今頃別の若い女とぐりぐりしちゃってたり?
もしそうだとすれば――。
……タカシ、お前は女の敵じゃ!!
勝手に怒ったあたしは、鼻の穴を拡げて荒い鼻息を見せた。
「どうしたの? カバ?」
馬鹿といいたいのか、本当にカバだといいたいのか微妙。
いいよ、ここはシズルさん……同じ女として、道化になってあげる。
とりあえずは、タカシくん忘れて仲良くしましょうね。同志よ!!
「委員長。タカシくんが来たら(絶対来ないと思うけれど)、同じ番号の対策練ることにして(誰が譲るか)、とりあえずは、それまではお隣さん同士、仲良くしましょう?」
「それまで……仕方が無いけど、仲良くしてあげるわ」
委員長は真っ赤な顔で、あたしが出した手を取り、握手をしてくれた。