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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
「で、貴方はなにきょろきょろしていたの?」
「実は知り合いが来ているらしく、探さなきゃいけなくて……」
「貴方はスマホや携帯というものを持っていないの?」
「いやそれが、探し出せという命令が下ってまして……」
「……命令? そのひと、何様なの!?」
憤慨する委員長に、あたしは言った。
「俺様です」
普通に。
すっぴん委員長の顔が、不快そうに歪んだ。
彼女、ツン属性のくせに面倒見はいい。
元来の気性が姉御肌であるんだろう。
「私、そういう勘違いオトコは嫌だわ。大学で貴方一緒にいた、あの卑猥な彼が俺様なの!?」
「いえ、あれは王子様で、あたしが言っているのは王子の兄の帝王です」
すると委員長は鼻でせせら笑った。
「卑猥王子の兄が帝王? それもまた卑猥な俺様なの?」
「その通り!!」
拍手まで送ってあげた。
「そうだ。どれだけ卑猥な帝王様なのか、見て……」
「…私に紹介しなくていいわ。私これ以上、卑猥なオトコ達と関わり合いたくないから。それじゃなくても仕事中でも大学でも卑猥な奴ばっかり私によってくるから、もう相手にできない」
……そう委員長が顔を顰めた時だった。
視界に、ピンク色のウサギの着ぐるみが映ったのは。
それは太陽の光さえ届かないような、薄汚く見える……小道。
こちらを背にして、ぴょこぴょこ跳ねている。
フードのふさふさ耳に飾られているのは、赤いシュシュ。
あのシュシュの色には、見覚えがある。
ウサギの色は違えど、あれは間違いなく――。
「ナツみっけ!! 捕獲――っ!!」
「ちょ……!?」
委員長が追いかけてきて、共に物陰から様子を窺ってみる。
すると――。