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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
「そうよね~。偏差値最高の大都大生であれはないわよね~」
「そ、そうよね~」
「……そういえばよく貴方大都に合格できたわね。現役? タメ?」
しーちゃんの心も"ずっぎゅ~ん"だよ。
忍び込んだアラサーだとわかられる前に、話をそらせないと。
「いやあ、世間様には色々な人種がいるんだね。ちょっとびっくり!! ああ、あれは人種っていうより、ウサギだけれども」
汗をふきふき、空笑い。
「いやいや、上にはもっと上がいるわよ。着ぐるみで後ろ姿見せているだけでもいい方よ。私なんて……ああ、やめておくわ。思い出すだけでも悍しい……。ぶるぶる……」
委員長、本当に顔色が悪い。
「だけど、春はまだだというのに、今年は"出現"が早いわね、春は"変態さんいらっしゃ~い"の憂鬱な季節…。もう春はうんざりよ、私が歩けば、いつも変態痴漢がわんさか寄ってくるから。なんであんなにわんさかくるのかしら……ぶるぶる」
もしや――。
この人混みの中で、ナツを見つけられたのは、委員長の変態センサーのおかげだろうか。
だとしたら、ハル兄も見つけられるかも?
これは便利でいい。
どうみても、このナツはSeasonになにか出来るようには見えない。
笑われながら捕えられてウサギ鍋にされそうだ…。
ここは、ひっそりと……なにもなかったように去るのが優しさだろう。
ナツ……。
鍋にされる前に、脱兎の如く走り去れ!!
「"好き好きっ、好き好きっ"」
「"ラーブラブリー、ずっきゅ~ん"」
踊り続けるピンクのウサギ。
そして……。
あたしは耳の赤いシュシュを見つめた。
「………」
ナツよ――。
あたしから盗んだ使用済みパンツを、耳飾りに使うな。