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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側



 会場は、異様な熱気が渦巻いていた。


「S・E・A・S・O・N」

「S・E・A・S・O・N」


 熱狂的なファン達が自発的に、Seasonの登場の熱望コールを始める。

 ひとりがそれに乗れば、またひとりと。


 脅威的な連鎖反応は、昔のあんなライブハウスなどと比較にもならない、ある種宗教となっている。


「S・E・A・S・O・N」

「S・E・A・S・O・N」


 その中で委員長の震えた声が微かに耳に届く。


「タカシくんが……来ない……。今日、私の誕生日なのに……」


 ひとりだけ悲しげな顔をして、ぐっと泣きたいのを堪える委員長。


「どこかで……わかってはいたけれど……」


 泣きそうになる委員長の手を握りしめたあたし。


「オトコは、タカシくんだけじゃないさ!! タカシくん以上にぐりぐりしてくれる超絶倫オトコだっている!! 薄情なオトコなんて忘れちゃえ!!」

「あ、貴方っ!! ど、どうしてタカシくんが絶倫のぐりぐりオトコだって知って……っ!?」


 おおっと、覗き見してたのがばれちゃう。


「さあ、委員長。Haruコール行くよ!!

Ha~ru、Ha~ruっ。委員長、ノリ悪いよ!? さあ一緒に……っ」


「Ha~ru、Ha~ru」


 委員長はあたしの手を握り返し、段々と大声で叫ぶ。


「タカシのアホ!! クソったれ~っ!!」


「あはははは、その意気――っ、委員長――、」




「S・E・A・S・O・N」

「S・E・A・S・O・N」




 コールが凄まじい中、あたしもまた負けじと大声で叫んだ。



「お誕生日おめでとう――!! プレゼントないけど、今日は楽しもうね!!」

「あたぼーよっ!!」


 委員長が泣き笑いながら、江戸っ子になる。

 

「S・E・A・S・O・N」

「S・E・A・S・O・N」



「今日、私の隣が…タカシくんじゃなくて、貴方でよかった――っ!!」



「S・E・A・S・O・N」

「S・E・A・S・O・N」



「あたしも、隣がタカシなんてよぼよぼ野郎じゃなくてよかった!!」



「S・E・A・S・O・N」

「S・E・A・S・O・N」



「「あははははははは」」


 

 そして会場の照明が落ち、ステージに色取り取りの光線が交差した。


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