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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
……ナッちゃん、なにしてるのさ……。
あのピンクのウサギは、Seasonライブに使用予定だったのか?
ずっぎゅんの奇行は、ライブのフリ?
いつからSeasonとコラボ?
しーちゃん、聞いてないよ。
意味がわからずざわめく会場内。
あたしだって、意味がわからない。
「な、なにかしら、またあのウサギよ?」
あれは、どう見てもナツだ。
あんなに綺麗な王子様顔をしているウサギは、ナツしかいまい。
人参を手に、恥ずかしそうに顔を紅潮させ、大きなもこもこあんよでぱたぱたと進んでくると、やがて足を止める。
そして人参を両手で握りしめると、伏し目がちにてぺこりと綺麗にお辞儀をした。
今にも、きゃっ♡など言いそうな、初々しい乙女キャラで。
……ナッちゃん、女の子より可愛さ振りまいてるところ悪いけれど、お耳の卑猥なお飾りをやめようよ。
しーちゃん、ナッちゃんが大きくなるにつれて、あれがあたしのパンツだとバレないか、ひやひやだよ…。
そしてあたし達のいる会場内に流れてきたのは、Seasonの曲。
ただし、ところどころがアレンジされ、趣が少しばかり違っており、クールさが少なくなってほのぼのPOP系となっている。
ステージはまだ光線が交差したままSeasonが現われる気配はなく、突如のウサギの出現は、本番を盛り上げるための前座だと誰もが判断したようだ。
だけどあたしは、ドキドキだ。
Seasonと縁もゆかりもなく、さらにはHaruに対して非道な行いをするあの兄弟が、前座などするものか。
そうは思えど……。
「ねぇ、認めたくはないけど……可愛いわね」
委員長も認めるほど、ナツの動きは子供のように愛らしい。
そしてナツは、実際会場に流れる音楽に合わせて、体を動かし始めたのだ。
即ち、ボーカルのないSeasonのアレンジ曲に。