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第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ．憂鬱の向こう側

　

「"好き好きっ、好き好きっ"」
　

　ナッちゃん、なぜにSeasonの曲に、あの歌詞とメロディーを!?

　ただしボーカルは、ナツの歌声ではなく……


「これ、機械の……ボーカロイドの声だわ」



　女の子のものに聞こえる声。

　それにあわせて、ナツは踊る。


　ぴょこん、ぴょこん。


　片足ずつ伸ばして飛び、腰に両手を添えてお尻をふりふり。


「"君のHartに　ずっぎゅ～ん"」


　人参を置いて、例の……両手で作った銃をこちらに向けて、ぱちんとウインクをすれば、


「可愛い～」


　女達が悶えた。


　……ナッちゃん、後ろから見れば変質者だったけれど、ナッちゃんの甘々スマイルがあれば、しーちゃんまできゅんきゅんしてきちゃったよ。



　ぴょこん、ぴょこん。


「"僕のHartも"」



「「「"ずっぎゅ～ん"」」」



　いつの間にか、ファン達もノリノリとなり、"ずっぎゅん"を合いの手のようにかけ声をあげては、ナツがしているように両手で作った銃を向ける。


　それを見ているかのようにナツが嬉しそうに笑って肩を竦めれば、母性本能擽られたお姉様達が黄色い声をあげた。




　恐るべし、ナツ。


　王子はウサギ姿で、人気アイドルの前座で一躍有名なマスコットになりうるか。