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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
一体なんのために帝王が、奇天烈な衣装で登場なされたのか。
なんのお戯れなのだろう。
人気アイドルSeasonに対抗するには、あまりにも役不足。
リアルの彼らは、今どこにいるのだろうか。
あのステージに立っていないことは確かだと思うが……。
対して、端っこにいるなちゅウサギは、投げキスをしながら前のめりになって、手を大きく振ってお愛想。
まるで正反対のウサギの兄弟だ。
「やっぱりウサギなら、ナツの方が……ひぃぃぃっ」
学習能力がないらしいあたしの呟きに、またもや黒ウサギはあたしの方にぐりんと頭を動かしてくる。
「ひいいいい、ごめんなさいっ!!」
頭を抱えたまま、愚民は帝王ウサギにへこへこと平身低頭。
狂った生態系など気にするまい。
凶悪ウサギは、タバコをタンのようにぺっと吐き出した。
ひっ!?
喧嘩売られてる!?
もっていたマイクを、ナツとお揃いのもこもこあんよで蹴り飛ばした。
ひっ!?
そこまでお怒りなのか!?
「ちょっと、なんで土下座してるの、貴方っ」
ごめんなさい、お許し下さい。
ああ、その地獄への誘いのように鳴り響かせる、帝王ウサギ様の苛立ったあんよの音……、どうか、どうか……お鎮め下さいませ――っ。
そんな時である。
ズン、ズン、ズン。
ハル兄のあんよの音に溶け合うように、ドラムの音がしたのは。
ハル兄のデスボに共鳴したかのような、床を揺らすような重低音のドラムが単調に鳴り響き、なんとなく……不穏さを掻き立てる。
重低音に合わせて、凶悪ウサギの足もバンバンと床に叩きつけている動作は止ることなく。
そしてドラムに低音のベースが早い旋律で絡みつき、リズム隊が複雑な律動を奏で始めた頃、凶悪ウサギは動き出したのだ。
「※△〒◎!!!????!!?」
華麗なるウサギの舞い(ダンス)を。