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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
 


 ウサギのダンスと言っても、それはナツがベッドの上で踊っていた……"ソソラ ソラ ソラ うさぎのダンス~♪"なんて可愛いものではない。

 近未来的な旋律に乗せた、もっと野性的で激しいものだ。


 叩きつけていた足が音楽に合わせて確実なステップを踏み、斜めに傾かせた体の重心をとるようにして、天高く上げた片手が……早いリズムに合わせてくるくるくると回ってぴんと伸ばされ、その足が、その手が……一斉に忙しく動き出した。


 こ、これは一体、なんであるか???

 帝王ウサギ、狂ってしまったあるか???


「あれは……ストリートダンス、中でもロックダンスというものね」


 委員長はなんでも知っている。


 早い音楽の緩急に合わせてウサギが伸びやかに、そして素早い動きで、力強く踊り始める。


 俺様を見ろと言わんばかりに、凶悪ウサギが――。


 
 床をすべるようにして動くもこもこ足。

 ギャグみたいな足なのに絶えず動いて止ることなく、どこか不格好なダボダボの短足を見せつけるくせに、自在に動くその足が神業のようなキレと動きを見せた。


 あの足で爪先、踵……軽やかなステップを踏みながら、ガニ股と内股を交互に動かしたり。


 正面を向き、体を傾けた向きとは逆の足を踵から持ち上げ、腰まで上がれば逆に体を傾け、膝の向きを変えて足を下ろし、今度は逆の足を踵から持ち上げる……ことを交互に行ったり、宙を蹴り飛ばすようにしながらタイミングをずらしてきたり。


 どっしりと腰を落として中腰になり、下半身を左右に揺らしたかと思うと、波のように上半身を遅れて左右に揺らす動きが、優美にすら思うのは、下半身が強靱な帝王だからできることか。
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