この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
体の傾け具合と、手と足の動きがてんでばらばらで、どれもこれもが好き勝手に動いているのは帝王の性格を顕著に表しているような気もするのに、音楽に乗ればそれが帝王の意志のもと統一性を見せているように思える…この不思議。
あれだけのスピードに乗りながら、変則的なリズムにタイミングを狂わせることなく軽やかに踊る様は、さすがはサバンナで育ったものの脅威的な運動能力と、その体のしなやかさと逞しさを見せつけた。
凶悪ウサギの見事なダンスに圧倒された観客は、それまでが可愛い"ずっぎゅん"のノリであったがために、どこか現実離れして思えているようで、唖然呆然とした表情だ。
やがて――。
「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
誰もが割れんばかりの凄まじい歓声を上げて、ハル兄のダンスを褒め称えた。
あたしだってそうだ。
ブラボー連発して拍手が止らない。
ウサギのくせに、ウサギのくせに!!
ウサギは、可愛いだけの生き物じゃないということを、帝王ウサギは見せつけた。
「ブラボー、ブラボーっ!!」
「貴方、"ブラボー"なんて随分古いわね。今ドキそんなの使わないわよ?」
放って置いてくれ。
あたしはアラサーなんだから。
「ウサギにしておくのが勿体ないわね。本当にあれ、誰なのかしら。プロのダンサー……? 凄まじいステップの正確性と、下半身の鍛え方。小さい頃から随分と下半身を鍛えなきゃ、あそこまでぶれずに踊れないわよね」
……委員長、帝王は下半身だけは毎日のように鍛えてきたと思います。
メスを食って、逃げての繰り返しでしたから。
しかも、警察には捕まったことがないほどに逃げ足が早く、喧嘩上等の……元ヤン集団のトップですし。