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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
 


 ああ――。

 ……ハル兄の姿で、あのダンスを見たかった。

 ウサギではなく、サングラス姿でもなく。


 鍛え上げられた自慢の……36歳とは思えぬ己の肉体をひけらかすように、あの挑むような超然とした目で、見る者を魅惑して欲しかった。

 あたしを抱いている時のように、黒髪を乱れさせ汗を滴らせて、オスのフェロモンを迸らせて、"俺様だけを見つめていろ"と挑発して欲しかった。


 ハル兄はもっと格好いいんだ。

 ハル兄は、ハル兄は。


 見たいよ、本当のハル兄を。

 見せてよ、あたしが知る帝王の姿を。


 そしてあたしだけではなく、誰もを虜にして、帝王に服従させて。

 帝王しかいないのだと思わせて。


 ハル兄……。

 
 "あたしの帝王"とは言わないから、そこまで愚民は身の程知らずの独占欲を見せないから。だから、少しでも……本当の姿を――。


 佐伯波瑠というオトコを渇望したあたし。

 だがその願いは届くことなく、"はりゅウサギ"は、端でリズムをとるようにして膝を曲げたり伸ばしたりをして見守る"なちゅウサギ"にひらひらと手を振った。


 するとピンクのウサギは、喜んで駆け寄り、両手を上に掲げて……、


「!!!!?」



 バク転を繰り返しながら再びセンターへ飛び入り参加したのだ。



 なんでもないように軽くいったけど、あれはバク転……。

 "ずっぎゅん"で皆の心を虜にしてしまったナッちゃん……君までなにをし始めたんだい?



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