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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
あの可愛らしさはどこへやら、ナツもまたほのぼの系を返上した、キレッキレのダンスを見せ始めたのだった。
ハル兄同様の忙しいステップを踏んでいると思えば、股が裂けるんじゃと思うほど開脚し、座り込んでしまったのかと思えば、背後についた両手で体を持ち上げ、そのまま倒立しながら回転までして見せ、器械体操のようなアクロバッティングさを見せつけた。
ナツの体格は決して華奢ではなく、腹筋だって割れている。
しかしここまで体を自在に動かせる肉体派とは思っていなかったあたしは、あんぐりと口を開いたまま。
あの"ずっぎゅん"に比べれば、月とすっぽん。
ナッちゃん……また違う方に急成長してしまったの?
どうして君は、普通に生きていられないんだい?
ああ、お願いだから、お耳の飾りを落とさないでくれ。
それがあるためにしーちゃんハラハラだよ。
結びが緩んでないかい?
あ、逆立ちしなくていいからっ!!
ナツ、ナッちゃん、なちゅウサギ――っ!!
ナツの三段活用を心で叫ぶあたし。
「……格好いいのに、ウサギ姿がつや消し。残念ね……」
「本当に、残念だよね……」
ナツもまた、被り物さえしていなければ……。
ナツは可愛いだけのオトコではないのだ。
ナツは、ナツは――。
ああ。
どうしてこの兄弟は、残念なんだろう。
あの着ぐるみでなにをしたかったのか。
ダンスだって、遣りづらいだろうに……。
ウサギらしからぬ体の動きを見せるピンクのウサギ。
はりゅとは違い、なちゅは顔を隠すものはなく、ナツの表情がリアルに画面に映る。
次第に顔に浮かぶ妖艶さ。
純朴さを超えてオトコとしての興奮した情が強く芽生えてきたのだろう。
ナツがオトコ臭さを強めると、途端に持ち前のフェロモンを倍増させ、まき散らして、一気に妖艶になるのだ。
――抱くよ、静流……。
まるでそう言われているかのような錯覚に囚われたあたしは、体をかっと熱くさせてしまい、さっきから暑く疼くお股を誤魔化すように、足をもじもじさせてしまった。
このギャップ王子め……。