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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
タイミングよく切り替わった新たなる曲――。
それは一風変わって、中国の民族音楽のようなものだった。
胡弓が伸びやかに哀切な旋律を奏でていき、切なくなるほどの伸びやかで艶やかな男の声が絡み合う。
これから映画でも始まりそうな、壮大な曲の調べ。
この曲に合わせて、衣装を変えたのだろうか。
その旋律がふっと途絶えたと思うと、ズンズンズンと重い旋律が響いた。
曲調ががらりと変わる――。
悲しげな旋律から、一気に闘いのような激しい舞曲へと。
言うなれば、物悲しげな民族音楽に機械音が効いたテクノが融合したような、和風と中華風とロックがMIXした……新鮮な音楽で格好いい。
ドラム……というより太鼓の音に近い、ビートのきいた重いリズムが、まるで闘うことに心が躍っているような、狩猟&闘争本能剥き出しの興奮を伝える。
そんな中、赤黒の衣装のふたりは、互いに指を鳴らして互いの息を揃えながら、隣り合う片足を軸にして、リズムに乗せて反対の足で床を蹴るようにして回転して真横に並ぶと、指を鳴らしていた手を同じ高さにぴんと伸ばした。
それを合図としたように、タイミングよくリズム隊が止まり、僅かながら静寂が流れ――。
そして……笛や胡弓が絡んだ早いテンポの主旋律が流れた途端、リズム隊が畳みかけるような怒濤な……さらには変則的な律動を見せた。
それに乗って……ふたりは一気に踊り出したのだった。
ふたり、寸分違わぬ同じ動きを。