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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
そして――。
「この場の使用許可は、爆破予告テロが狂言だったと確認した上で、この宇佐木警部補が直々に出した」
横から現われたのは、ウサギの着ぐるみをとった宇佐木さん。
まるで正装した遠山の金さんのお白洲のように、堂々と言い放つその様は、現職警部補の貫禄を見た気がする。
優雅な若竹色の着物を着た、私服警察官。
格好いいね。
これが元ピンク頭で、さっきまでピンクのお耳をつけていたとは思えない。イケメン和装警官、ブラボー!!
「ここは、ライブがある時は使ってはいけないという、東京都の区のルールがあるんです!! 勝手にそんな許可を出されては困ります!!」
そう憤慨するのは、ドーム関係者だろうか。
「ここでライブを行うSeasonファンの、爆破予告で揺れた不安を払拭すべく、その信頼回復のための、1時間限定のいちイベントとみなし、東京都技監とも直接電話した上の暫定的な許可だったが、それになにか不服でも?」
「と、都技監!?」
「ああ。その遠戚の友人の母親の従兄の子の友達が日舞をやっててな。その着物を仕立てているのが、俺の実家の宇佐木呉服店。彼とは日頃から私的な信頼関係がある」
すごいや、ウサギ……なんだかよくわからないけど、多分結構偉そうなひとと知り合いなんだ!! 直接電話できるほどの仲なんだ!!
さすがは警部補!!
「……都技監の遠戚の友人の母親の従兄の子の友達繋がり程度で、警部補が都技監と直接電話して、代理で権限行使できるものかしら? 結局警部補と都技監は、他人ってことじゃない? どこに信頼関係が? 私的な関係に公的な権限持ち出していいのかしら? これ……本当の話なのかしら?」
委員長が小声でなにか言っている。