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【SS】目が覚めたら…?
第10章 【2000拍手突破感謝】0.憂鬱の逆襲
 

「うし、ここにする」
 


 歌声と歓声が響き渡る大きな公園の片隅、鬱蒼と茂る植樹。

 自然を楽しむ散策路の少し外れたところにある、大きな石が椅子代わりになる……天然の休憩場のように見える場所に、連れられた。


 こんな辺鄙な場所に、こんな場所があったのすら知らない。

 足場の草は、しばらく踏まれていないというように生き生きとしていて、ここは知るひともいないだろう未踏の地だろうことを思わせた。

 そんな場所を探索できるのは、サバンナに身を置く帝王の知恵なのか。


 いつも以上に興奮して高揚している佐伯兄弟。

 いつもはあたし対1のふたりきりの世界を大切にしていたのに、今は協力してゲリラライブを成功させた……その打ち上げ感のように、どうしても全員で楽しみたいという気持ちが強いらしい。


 無論、あたしの意志は無視……とはいえ、それでもあたしも同じステージを体感してしまった以上、この奇妙すぎるほどの興奮は、いつものテンションを超えていた。


 ありえない……そんな未知なる刺激を、体験したいと……思ってしまった。そんな様子を感じ取るのが早い兄弟は、にやりとした顔を見合わせて、本気モードの妖艶な顔で笑い合う。



――ここだね!? じゃあここにサクラ、呼んでくる!!

 
 嬉々とした興奮顔で、チェリーのモモちゃんを召喚しにいったナツ。

 ナツが消えた途端、石の上にあたしを座らせたハル兄は、切羽詰まったような顔をして、真向かいから荒々しくあたしの唇を奪ってくる。


「んぅ……っ」


 興奮している帝王は、はっはっと短く荒い呼吸を繰り返しながら、肉厚な舌であたしの口腔内を激しく蹂躙してくる。

 卑猥な水音をかき鳴らして、己の欲望を確かめ合うようなキス。

 触れれば蕩けそうになる熱に、己自身も発熱しながら、いつのまにか互いを貪り合うように身体を抱きしめあい、口端から涎を垂らし合いながら、動物的な口づけを交わし合う。


「ん、んん……」

「シズ……っ、んん……」
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