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【SS】目が覚めたら…?
第2章 Ⅰ.ハル兄と……
「もっと、もっと……愛して……」
あたしの言葉に、びくんとハル兄が震えた。
そして――。
「ぁんっ……」
突然あたしの首筋にがぶりと噛みつくと、ハル兄は、あたしの顔を後方にねじ曲げた。
そこにあるのは、ぎらぎらと欲情した肉食獣の瞳。
乱れた前髪から、あたしを見るそれは……狩りをする捕食者のもの。
滾るような熱を潜ませていた。
「言ったろうが。その着物で欲情するなと」
ハル兄の、迸るような熱にくらくらする。
「着物が……いやなの?」
「着物はそそられる。だが、"それ"は駄目だ」
そう言いながら、ハル兄は自らの膝上にあたしを横抱きにすると、頭を垂らし……上からあたしの唇を奪った。
そして、その重厚な舌であたしの唇をべろりと舐めた後、性急に唇から割り込み……その絶大なる質量を感じさせながらあたしの口腔内で暴れさせた。
今までのような、あたしをなぶるような余裕はみられない。
ただ本能であたしを求める、そんな獰猛さ。
この荒々しさが欲しかった。
ハル兄だと思えるこの強さを、もっとあたしに刻みつけて欲しい。
すべての常識を打ち破り、あたしだけをこうしてハル兄の色に染め上げて欲しい。ハル兄だけしか考えられなくして欲しい。
ハル兄が眉間に皺を寄せる、あの……あたしが好きな苦悶の表情で、キスの合間で漏れる悩ましいハル兄の声に、あたしの体はますます発火する。
綺麗さなんていらないから。
ただその熱だけで繋がりたい――。
熱く濡れた舌があたしの舌と絡み合う度に、擦れ合って卑猥な水音が鳴る度に――ぞわぞわとした興奮が背筋に走る。
シズルとしてメスとして。
服従する悦びに体が打ち震えている。
興奮は甘い痺れとなり、体の隅々まで快感となって拡がり……体が蕩けてなくなってしまいそうだ。
「はぁ……ん、ハル……ぁ、んんっ……」
貪られる。
小動物としての危機感がどこかで恐怖を感じるのに、シズルとしての本能は、ハル兄に食べられることを喜んでいた。
食べて貰いたい。
骨の欠片まで、すべてを。
せめて、帝王様がおいしいと思って貰えたのなら――。