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【SS】目が覚めたら…?
第15章 【アンケ感謝】藤見さま☆『艶事談義』
「気分が苛立っている時には、愛のぎゅ~が有効だよ? 落ち着いて、落ち着いて~? 俺コウセイのぎゅ~で、はい、どうどうどう……」
まるで暴れ馬を宥めるように、優しいコウセイの声にハルが落ち着きを見せました。
「波瑠兄が落ち着いた……。コウセイ……さんの"ぎゅぅぅ"は凄い」
ナツの拍手に、私もつられてパチパチしました。
「うわっ、この子可愛いね」
あちらのナツが、目覚めたシズを見て言いました。
「俺、ナツ。君の名前は?」
「ナツだよ?」
にっこり笑うウチのナツが、ハルの肩から降りるシズの前に両手を広げるようにして、あちらのナツの視界からシズちゃんを隠すように言いました。
「俺が聞いてるのは、あの可愛い女の子の名前だよ。ナツが"しーちゃん"って紹介した、あの子の!」
「わかっているならナツ、本人に聞かなくてもいいだろう?」
ウチの嫉妬深いナツは、ぷっくり頬が膨れています。
「ナツ? こちっちもナツ? そっちもナツ?」
町娘風の矢絣模様の着物を着たシズが首を傾げています。
「そう、ここはナツだらけ。気にするなシズ。それより……なぁ、この帯引いて……"くるくる"してぇんだけど」
なにやらハルがとろりとした目でシズを誘ってます。
ああ、だめですよ。
こんな道の往来で、いや場所がどうというのではなく、そんな襟ぐりに手を入れるなんて卑猥なことは……。
「……波瑠兄っ! そういうおイタは僕がする予定だったのに!」
それを止めたのは、弟君のぷっくりナツ。
それ以外はガン見です。
ナツとコウセイ……ハルのフェロモンにやられたようです。
そりゃあ、隠すことを知らない野生育ちですから。