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【SS】目が覚めたら…?
第15章 【アンケ感謝】藤見さま☆『艶事談義』
それは扇子を開いたり畳んだりしている、男――。
「折角のカウヒイタイムが、台無しですね……」
それは黒髪メガネの落ち着いた藍染めの着物姿の……またもやイケメン!!
なんでしょう、ここはイケメン揃いなんでしょうか!!
しかしなんでしょう、極上の顔と落ち着いた物腰をした彼よりもあの扇子の方が存在感がある…。
あれ、なんでしょう。
イケメンよりも、あの扇子が気になってしまう……。
「あのひと、モモちゃん……でもないね?」
シズちゃんが首を傾げています。
「モモちゃんみたいなインテリ系イケメン、この時代にもいたんだぁ……」
シズちゃんがほっこりと喜んだ拍子に、傍に居た……可愛い茶汲み娘……お琴ちゃんを押してしまったようです。
「あ、カウヒイが零れる……」
お琴ちゃんが運んでいたカウヒイが盆から落ち、それがシズちゃんにかかりそうになりました。
そんな時にすっと動いたのはナツ。
宙でくるくると手を動かすと、シズちゃんに液体がかかる前に、カウヒイの入っていた容器ですべて受け止め、同時にその身体はシズちゃんを庇うようにして、まるでお姫様を救う騎士のようです。
「少し床にこぼしちゃった。ごめんね」
そうにっこり微笑んで、戻ったカウヒイを容器ごと差し出せば、お琴ちゃんはぽっと可愛く顔を赤らめました。
「あ、ありが……とぅございますぅ……」
「大丈夫? 火傷してない?」
「は、はい……」
依然ナツの王子様スマイルに、小動物と化したお琴ちゃんがふしゅうと顔を沸騰させていると、
「お琴に……近づくな!!」
セイジと呼ばれた若侍が逆上して、真剣をナツに振り下ろそうとした――息を飲む瞬間。
「俺様の弟になにをする!!」
唸るハルの拳。
「きゃあああセイジ、セイジっ!!」
お琴ちゃんが声をあげたのとほぼ同時期――。
セイジの刀を宙高く飛ばしたのは、開かれて飛んで来た扇子。
「うるさいです」
ただひと言で、殺気まじりの呪いの扇子は、刀をスコーンと。
刀だけスコーンと。
そして扇子が刀を弾くと同時に、ハルの拳を上から叩いて弾いたのは――、
「――喝っ!!」
扇子男と同じ卓にてカウヒイを飲んでいた……目つきの鋭い男。