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【SS】目が覚めたら…?
第15章 【アンケ感謝】藤見さま☆『艶事談義』
 
 

「数ヶ月前まで――」


 それはまるで学習塾のような、長机と座布団と黒板らしものがあるだけの「学問所」。


 【恋愛の心得】という紙が、正面に大きく貼られてあります。


 1.押して押して押すべし。

 2.押して駄目なら押し倒すべし。

 3.押し倒したら、イカせるべし。



 押すの一手の…学問所。

 凄い恋愛指南所です。



 そこに集うはハイスペックなイケメン達。

 衣装がまるで不揃いで、しかし共通するのは尋常ではない美貌だということ。

 この学問所にそぐわないと思うのに、それでもなにか同じような空気を感じてしまうのは、彼らが理知的な部分を兼ね備えているからでしょうか。


 ヤナセ神が語り出しました。



「このヤナセ藩は美男美女で賑わう、華やかな藩でした。しかしある時、城に攻め込んできたのです、豹変したフジミが」


 藤見さま、なにご乱心を?


「女ひとりくれぇ抑えられないほどの、弱小な藩主と部下だったのか?」


 座布団にふてぶてしくあぐらをかいてタバコを吸っているのはハル。
 
 ハヤブサが、メガネのフレームを指で押し上げながら答えました。


「いえいえ、強者共が揃う……近隣からは恐れられているほど強大な藩でした。特に藩主が凄まじい力をお持ちで」


 ぱちんっ。


 ハヤブサの扇子が閉じられる音。

 何度聞いても、人間の恐怖感を煽るこの音には慣れません。


「それがなんで?」


 礼儀正しく正座しているナツが聞く。 


「封印していた……邪神が目覚めた形跡あり」


 ギロリ!!


 ワタリの鋭い眼光を放つ目が見開かれました。


 恐いよ、恐いよ……。


「邪神?」



「そう、卑猥の神だ」



 ギロリ!!


 どどーんと雷でも落ちたようなBGMが聞こえて来そうですが、この兄弟にはそれが効きません。
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