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【SS】目が覚めたら…?
第2章 Ⅰ.ハル兄と……
「お前の妄想とはいえ"お医者さんごっこ"に引いちまって嫌われたと思ってたから、すっげぇ……嬉しいお年玉っ」
そしてすりすりと頬擦りをしてきて、あたしの両脇に両手を差し込むと、"高い高い"をして喜んでいる。
なぜにあたしが高い高いをされるのか、そしてしている方が喜んでいるという状況がなんでなのかさっぱりわからない。
「シズ……」
だけど甘えたような声が響くと、それだけであたしの胸は高まってしまう。
「なぁシズ……」
懇願するようなその瞳。
濡れて潤んで欲情しているその瞳は、あたしの意向を伺おうと謙ったような眼差しにも見えるのに、あたしを捉えて服従させようとする挑発的な光も同在する。
ハル兄の顔が、恍惚としたオトコの顔になる。
肉感的な唇があたしの唇を吸い上げ、無理矢理舌をねじ込ませると、ハル兄の手は、あたしの着物を剥ぎ取っていく。
するり。
ナツが仕立ててくれた着物が肩から滑り落ちる。
露わになる肌に、ハル兄の唇もまた滑り落ちていく。
まるでハル兄の視線のように、熱い舌が体を這い……あたしの息が乱れ始めると、ハル兄は……どこから用意したのか、別の着物をあたしに着せた。
それは黒い着物だった。
黒い振り袖に、大きな赤い寒椿が咲いている。
そしてハル兄はあたしを立たせると、帝王自ら着付けをしてくれて、帯も締めてくれた。
「ハル兄、着付けできるんだ?」
「ナツがお袋から習っている現場を俺も見てたから。帯を解くのは慣れてるが、結ぶのは初めてだから、雑なところは目をつぶれよ」
……深くは考えるまい。