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【SS】目が覚めたら…?
第18章 ハルへのエイプリルフール
「"エイプリルフール"」
唇が重なる直前で、漏らされたその言葉の意味があたしにはすぐに理解出来なかった。
「俺様を騙そうとするなんて、100年早い」
思わず目を開けて見れば、超至近距離にてハル兄が意地悪そうににやりと笑った。
「お前の手の内なんぞ、初めからわかってる」
そしてあたしは理解したのだ。
ハル兄を騙そうとして、逆に騙されていたことに。
キスをする気満々だったあたしは、恥ずかしさに顔を赤くさせて、触れられることがなかった寂しい唇に手を置いたまま、ずるずると壁からずり落ちた。
「だけど……」
一緒に屈んだハル兄は、あたしの手をどけると、あたしの唇に噛みついてぬるりとした舌をねじ込んだ。
「ん……んぅ……っ」
じたばたするあたしの手を押さえて、押しつけてくる情熱はあたしには痛いくらいに熱すぎて。
あたしの両足の間をハル兄の片足が割って入り、よりハル兄の熱い息と匂いがあたしの中に充満して、くらくらしてくる。
ハル兄に染まって行く――。
「ん、んん……っ」
そしてその肉厚な舌はあたしの舌から離れて、首筋を這いまわる。
「……わかったろ、シズ」
首筋から、ぎらぎらと情欲に滾る瞳が向けられる。
それだけであたしの体はかっと熱くなってくる。
「俺に愛されるということは、冗談で済むような軽いもんじゃねぇ。身も心も俺に食らい尽くされる覚悟をしてから、もっと真剣に俺に言ってみろ」
そしてハル兄は挑発的に笑った。
「俺は、待ってやるから。
――生涯をかけて」