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【SS】目が覚めたら…?
第2章 Ⅰ.ハル兄と……
一瞬――
時間が止った。
「愛してるよ、静流」
切なそうで、だけど愛おしそうで。
揺れる。
揺れてしまう。
言葉が出ない。
「……やっぱ、"あたしも"とはいかないか」
なにか自嘲気な声がしたが、それを理解するまでにはあたしの思考力は働いておらず、そしてあたしの思考は……ハル兄に止められた。
「それでもよ、俺は――」
思考を掻き乱すような、性急な口づけ。
息つく暇さえ与えないような、そんなキスが降ってくる。
「……シズ、静流、静流……っ」
まるで堰を切ったかのように、そのキスは激しくなり、腰の律動も大きくなる。
まだ開ききっていないあたしのナカは、ハル兄の熱い肉棒の摩擦によって、火のような快感を体に生み出していった。
――愛してる。
ハル兄の戯れに違いない。
そう思えども、心だけではなく体も震える。
もしも、もしも……ハル兄が恋人で、淫魔だとか治療だとか抜きに好きな時に好きなだけ抱き合うことができるのなら、どんなに幸せだろうと。
帝王の寵愛を独り占めできたのなら、どれほどに――。
「ああ、あ……ん、んん、んん……っ」
「そんなに……締め付けるなよ。いつもみてぇに焦らなくても大丈夫だぞ、シズ、なぁシズ……ああ、んっ……」
ハル兄が苦悶の表情をして、喉もとをさらした。
垂れる汗が実に悩ましい。
だけど――。
「駄目、離れないで。ぎゅっとして、ハル兄……波瑠」
離れるの温もりがあるのが悲しくて。
ハル兄はあたしを抱きしめると体勢を替えた。
「静流、俺に抱きつけ。思いきり抱きつけよ、俺から離れたくねぇって抱きついていてくれよ」
対面座位。
「うん、うん、ぎゅっとする。ああ、ああ……ハル兄が、ハル兄が感じる……っ」
首にしがみつき、汗ばむ体を重ね合う。
精悍な肩に顔をすり寄せ、男らしい鎖骨付近に唇を落とした。
ずんずんと下から突き上げられ、灼熱の楔が奥まで届く。
気持ちいい。
こうしてハル兄の温もりを、体の内外で感じながら、ハル兄から与えられる気持ちよさに悶えるなんて、あたしはなんて贅沢ものだろう。
環境は既に享楽。
ハル兄に耽溺するあたしは、ただの女にしかすぎない。