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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
「どうだ、俺様の居城は凄いだろう。全て俺様の手作りだ」
丸太作りの空間の中には、生きているような動物の剥製。
床には毛皮の敷物で覆われ、壁には雄々しい鹿の角が飾られている。
連れられた場所は、確かに山の中の"小屋"にしては素晴らしいが、城暮らしのあたしにとっては、男が自慢するほどの特別な感激要素はない。
「凄いだろう、あ゛!?」
「ひっ…。す、凄いです……」
返答に窮していたあたしは男の凄みに飲み込まれ、反射的にパチパチとお愛想で拍手をして引き攣って笑うと、男は意外にあどけない笑みを見せて、嬉しそうに煙草をふかせた。
……意外と単純らしい。
「――おい、ナツ。救急道具を持ってこい」
「ナツ?」
「ああ、あの鷹だ。俺様の弟の名前をつけている。今は会えないがな」
鷹……ナツは、ちゃんと言われた通りに、箱の上にあるとっかかりを器用に足に引っかけて飛んでくる。
「頭の良さは、弟と似ているんだ」
そう笑う男は、きっとナツという弟が好きなんだろう。
こちらがどきりとするほどのまばゆい笑みに優しさが滲み出て、この男は悪人ではないということがわかり、あたしは素直に手当して貰うことにした。
だが手荒い。動きを見ていると不器用ともまた違う、いや多分器用なのだろうが、とにかく"部分攻め"が容赦ない。そして攻めている時の、にやりと笑う姿は絶対的に確信犯。
「イタタっ!! もうちょっと優しく……」
「怪我の手当なんだ、痛くない治療なんて治療じゃねぇんだよ。痛いというのはな、こうやって……」
「いやああああああ」
「どうだ勉強になっただろう」
……嫌だ、この男。誰が勉強させてくれって頼んだ。