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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
早くこの男とさようならしたいが、派手に挫いたらしい足では、歩くのも一苦労だった。よたよたでも歩けるのだから、速攻出て行きたい。
「折角だ、怪我が治るまで俺様の屋敷に居候をさせてやろう」
「いいです、さようなら」
弟限定の推定善人なんて信用しなけりゃよかった。
早くここから出て行くんだ。
「させてやると言っているんだ、人の好意はありがたく受けろ」
「いりませんってば。手当ありがとうございました。それではこれで……」
危ない人と関わらない方がいい。早くここから――。
ぶちっ。
なにかが切れる音がした。
「学習しないアホタレな頭は、ここか、ここかぁぁ!?」
コメカミあたりを両手で思いきりぐりぐりとされて、あたしは悲鳴をあげて飛び上がる。
「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!!?」
「必殺、"ぐりんぐりん"だ」
……偉そうだ。ねぇ、猟師って皆こんなに偉そうなもの?
初対面のしかも怪我人の乙女に、平気で"技"を仕掛けられる人種なの?
まるでお父様……いいえ、それ以上の王者っぷり。
しかもなにかデジャヴを感じたり……。
ああ、駄目だ。暴れる彼に逆らえない。
そしてあたしは、この一介の王を超えた帝王様……ハルだとかいう男と、嫌嫌渋々、共同生活をするようになった。