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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
 
 どうして横暴で自己中心的に突き抜けているのだろうか。

 お前は意志薄弱だから、嫌なら嫌と正直に言えと言われて、嫌だと正直にいえば「嫌ではない」と言うまで手荒な"お仕置き"され、今夜もまたあたしは抱き枕となるだろう。

 だが意外と帝王様の高い体温や匂いは、恐いものから守って貰えるというあたしの安心感を高めて睡眠を誘い、気づけば男恐怖症も克服できたように思えれば、詰ることも出来ない。


 そんなあたしを尻目に、満足そうに呟くのだ。


――よしよし、大分躾けがなってきたな。


 ……どういうこと?

 え、あたし躾けられてるんですか?


 ちょっとむっとして、なけなしの権威を誇ってみた。


「一応、あたし……姫なんです。この山の向こう側にいる城に住んで」

「お前の名前は?」

「ええと、城では白雪姫と呼ばれていました」

「じゃあシズと呼んでやろう」

「あの、だから白雪姫と……」


「よし、シズ」


 毎度ながら、あたしの話など聞いちゃいない。

 あたしが城生活をしていた身分だろうがなかろうがお構いなく、帝王様は我が道を突き進み、あたしを引きずり込んでご満悦な笑みを見せている。

 傲岸不遜な性格さえなければ、かなり出世出来る人材だと思うのに、絶対宮仕えできるとは思えない。むしろ仕えられる方がしっくりくる。

 なんなの、この猟師。



「あの……ハルさんは、おいくつで?」

 
 ぱっくりと割れた腹筋や隆々としている筋肉など、逞しい体つきは衰えが見られず。あたしよりどのくらい年上なのか興味本位で聞いてみれば、途端に向けられる怒声。


「シズっ!!」

「は、はいっ!!」


 同居して数日には、あたしの体には条件反射の姿勢というものが染みついて、ハルの声ひとつで直立不動や土下座が板についてきた。


「肩を揉め」

「は、はいっ!!」


 あたしは一応、王女だ。王女が猟師に逆らえない。

 そして猟師にとって、年齢は禁句だということを知った。


 なぜに?

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