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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
 


 こんな横暴な男が、あたしをこの家に居候させてくれたのはどんな魂胆があってのことなのか。


 ただの怪我人の介抱…というには、この男から無償の善意は感じない。そこまでの善人ではないと断言出来る。


 ではなにか。例えば体などを提示されるのかと身構えていた時もあったけれど、「抱き枕になれ」それだけで、大きめといえどひとつの寝台で、あたしはただ抱きしめられて眠るだけで今に至る。


 女として意識していないのだろう。

 どうしても昔に、あたしを襲ったお父様のあの血走った目が忘れられないあたしにとって、ハルが向ける穏やかな眼差しはあたしに安堵感を与えるが、女として見られていないのだと思えばそれはそれで悔しくもなる。


 このままではあたしはただの侍女、ただの下働きの女。

 今まで感じたことがなかった王女としてのプライドが、やけにむくむくとわき起こる。


 女として馬鹿にされたくない――。


 その一念で、少しだけ……抱き枕の時に、自分からくっついてみた。

 いつもはハルがあたしを後ろから抱きしめるようにして眠るところを、真っ正面からあたしはハルに抱きついてみたのだ。

 抱き枕の時は、ハルがくれたネグリジェは必須。

 ひらひらのふりふりがついたネグリジェを女の子の寝間着として用意してくれたのなら、中身だって女の子だということを自覚せよ。


 どうだ、思い知ったか。あたしだって女の子だ。

 少しは狼狽えろ。


 しかし――。


「………」

「………」


 ハルは思いきり眉根に皺を寄せ、怒っているのか困っているのかよくわからない表情をした。あたしから言わせれば、"微妙"で。


 あたしの女の子度が、微妙…ということ?

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