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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
ここまで反応がないと思わなかったあたしは、正直、失敗したと思った。
しかも、人の心を見透かすような黒い瞳で、じっと真っ正面から見据えられ、居心地悪い。これならハルの背中を、あたしが抱きつけばよかった。
とりあえず……なかったことにしようと思い、"眠くてついぐずってしまいました"アピールをしようと、したくもない(生)欠伸をして、目を閉じた――が。
「ひっ!?」
ハルの人差し指と中指が、落ちたあたしの両瞼を持ち上げた。
まるで目つぶしのようで、恐くて瞼が下がらなくなる。
「汝、眠いという事由以外に、俺様に抱きついてきた理由を述べよ」
「いや、あの…つい、出…」
「出来心など言ったら、ぶっ殺す」
……あたしは、選択肢を失った。
どうする?
あたしは、ここで死んでしまうの?
「だが……」
ハルはあたしの瞼から指を離し、少しだけ目をそらして、子供のように唇を尖らせ。
「出来心ではないのなら、許す」
向き直ったハルの目は、冷たくなるわけではなく、逆に熱っぽく…少し蕩けたようにして、その奥にはちろちろとなにかが揺れていた。
むあっとハルの…慣れてしまった男の匂いが漂い、無意識にあたしの呼吸が浅くなる。
ハルの逞しい半裸がやけに目に入る――。
あの体で、後ろからあたしは抱きしめられていたのか。
そう思えば、あたしの方がハルを男として、今まで意識していなかったということを思い知る羽目になる。
出来心ではない…つまり、真剣に抱きついたのなら許される?
「それはえっと……」
真剣であると言うことはつまり?
「俺様に、女扱いをされたいか?」
その言葉はストレートだが的を得て、あたしの身は縮み上がった。
「俺に、そうやって触れられたいか」
その目は痛いほどまっすぐで、逆にあたしにそう懇願しているように思え、その切実な目に、あたしの胸がきゅうと締めつけられた。