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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
 

「男が……恐くないのか?」


 まるであたしが、男に恐怖を感じていたことを見知ったような言い方で。その為に今まで遠慮していたのだと言いたげな物言いで。


「俺が、こうしても恐くねぇ?」


 ハルの武骨な手が遠慮がちに伸ばされ、あたしの髪を指先で耳にかけると、露わになった頬に手のひらを添えた。

 思わずぴくりと肩をあげてしまうが、その熱さと壊れ物に触れるような手の感触が心地よくて、あたしはハルを見つめたまま、少し緊張しながらも拒絶はしなかった。

 するとその手が首筋から、鎖骨あたりへと滑り落ちて。


 さすがにあたしは驚き、服の上から胸の谷間に降りそうなハルの手を押えれば、ハルは熱い目であたしを見つめたまま、親指を伸ばして…あたしの手を弄り始めた。


 言葉がないままに、絡み合う視線が熱くて。繋がる手がもどかしくて。

 唇から零れる息は互いに熱く乱れていながらも、同調しているのがわかる。


 ハルの目が苦しそうに細められ、そして動く――。


 衣擦れの音がやけに大きく耳に響き、あたしは体を震わせた。


「……俺に慣れろ」


 
 どこまでも男の艶ある顔を、あたしの顔に近づけて来て、その野性的に整った顔を僅かに傾けた瞬間、ハルの唇があたしの口の端にあたった。

 それは啄む様な、本当に一瞬――。


 だがそれが偶発的な事故ではないということは、こちらを真剣に見つめるハルの顔でわかった。


 あたしの様子をうかがっている。

 この先に進んでいいのか、止った方がいいのか。
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