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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
ハルの変化はそうした行為だけではない。
「シズ、服をやる。肉付きよくなったお前なら着こなせるだろう」
非常に気前がよくなった。
手品のように、現れるドレスは、一度や二度のことではない。
どこから調達してくるのか。小屋を出た後、狩猟以外に山を下りて買い物でもしているのだろうか。
というか、お金はどこから? これ多分、貴族の別荘買えちゃったりしませんか?
「あ、あの……。胸元が大きくあきすぎる気が……」
「俺様しか見ていないから、安心しろ。それと俺様が持ってくるものは、俺様が直々にデザインさせ、1点しかないもの。超速で仕立てさせた」
「別に胸元開いたデザインじゃなくても」
「俺の趣味だ、気にするな。それにせっかく大事に育ててるんだ。鑑賞する楽しみぐらい与えろ、お前は鬼畜か」
泣きそうな顔で言われてしまった。
ええと、あたし……鬼畜要素ありましたか?
こんな山の中、ハルという名の猟師がひとり、ナツという鷹一匹。
僅かな観客に見せる為に誂えたのなら贅沢すぎる、そして山生活には機能的にまるで相応しくない、お母様が着ているようなふんだんなドレープの一流ドレス。
あたしも王女であれば、城でもそれなりのものを着てはいたが、そのドレスを思い出してみても、ハルがくれるドレスは豪奢すぎて、結局はここで普段着として着ているのが、ドレスに申し訳ない。舞踏会にでも出れば、さぞかし注目を集めただろうに。
今回の大人っぽい意匠のものは、さすがにここでもあたしには不似合いだし、ハルに見せるのがなんだか恥ずかしくて、ドレスを手にしたまま立ち往生する。
「着ないのなら、着せてやる」
気づけば――。
ハルがあたしの後ろに立ち、今着ている真っ赤なドレスの背中のホックを外した。なんで片手でこんな面倒くさいドレスを脱がせられるの!?
前触れ無く下着姿になったあたしは驚いて、胸を両手で隠すようにして猫背になったのだが、ハルは羽交い締めにしてその手を後ろから外そうとする。
「俺様がなんのために後ろに回ってやっていると思ってるんだ。さっさと着替えなかったら、このまま前に回るぞ?」
急かすように肩を甘噛みされた。
そしてそのまま、背中に熱くてぬるりとした舌が、蛇行しながら這い降りてくる。