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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
ハルside
山で足を挫いたシズを見た時に、心が震えた。
ああ、これはシズだ。
ようやく会えたと――。
遠い昔、俺がまた小さい頃。
この国から見れば隣国の国王、つまり俺の親父が俺に言った。
「隣国の王は私の親友ではあるが病弱でな。死にかけたところを妖魔が助けてくれた礼に、その妖魔を愛して后にしたのだ…」
愛を受けて美しく生きながらえる妖魔、それを淫魔とも言うらしい。
「これはお前だけに話す、内緒の話だ」
きっとそれは、俺の気を引くための親父の作り事。そう思えど、一応息子として、大仰に驚いてみせてやった。よくできた息子だろう?
そして弟のナツがひとの言語を理解できるくらいに成長した頃、俺はナツと親父と共に、隣国の宴に招かれた。
俺の国とは違う、山や森という大自然に囲まれた豊かな国。そこに聳える孤城に、この国の王と后、そして娘が住まうという。
親父の後を継いでいずれ王になるのだと、俺にそんな自覚がつき始めていた時だったから、親友の息子というより、次期国王として丁重なもてなしをされたように思う。
后はとても美しい女だった。ただ清楚さはなく、淫乱系の魔性の女だ。
あながち親父の話も戯れ言ではないかもと思えるほど、男が誘惑されたい女としては極上の部類だろう。
だが俺にはただそれだけの感想。意味深に向けられる色目に気づいてはいたが、男の部分をそそられはしない。逆に自分に自信を持ちすぎている高慢女など、萎えるだけだ。