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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
  

 だがシズに目を付けたのは俺だけではない。求婚者も増えたと聞き、俺は焦りに焦りまくって、用もないのに頻繁にシズの居る城を訪れてシズの心を向けようと色々画策したのだが、シズは顔を赤らめて俺を迎えるどころか、"また来たの、この暇人"的な心の声をただ漏れにして、俺が怒れば平伏すことが多くなり。

 俺にくっついてくるナツとの仲の方が深まっているような…。


 違う、俺が欲しいのは、隷属ではなく愛情なんだ。

 シズを俺だけが従えられることは気分はいいが、肝心の愛がなく。


 なにか間違っているのかも…と思いつつも、今さら軌道修正できず、とにかくシズを妻に迎えたくていつもの語気で命令してみれば、なんだかんだと従順なシズも、そういう時に限って言うことを聞かない。


――お前、俺様の妻になれ。

――嫌。ハルのお嫁さんになるのなら、ナツのお嫁さんになる。



 可愛い顔を思いきり歪ませて、凄く嫌そうな顔をして即答だったから、俺の心は傷ついていたんだ。


――贅沢させてやる!!

――別にいらないもん!!


 口を尖らせて"もん"なんて、俺を悶えさせる気か!!


――一緒に風呂に入ってやる。

――嫌!!


――毎日、お前を5回以上はイカせてやる!!

――シズ、お出かけ嫌いっ。


 中々手強い、俺の惚れた姫。

 こうなりゃ外堀埋めてやる。


 将来、シズを俺にくれと。

 シズとの婚姻は2国の繁栄ためでもあると、俺なりに色々説得できる理由をみつけては、シズの父親に毎度くってかかったものだ。

 だがシズを溺愛する王は苦笑ばかりで、いい返事をくれなかった。


 そんな時だ。

 俺達近隣の王族を招いて開かれた宴の後、シズの部屋に忍び込み、娘を凌辱しようとしている……酔った王の姿を見たのは。


 俺の理性が飛んだ。


 覚えているのは怒りと、独占欲。


 シズとの婚姻を認めなかった理由はこれなのか。

 誰がシズを渡すものか。


 俺は、携帯していた小刀で王の両目を突き刺して、シズを守った。

 だがシズの貞操と引き替えに、俺が払った代償は大きかった。
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