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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
怒り狂った盲目の王を宥めるために、戦争を回避してさらに幼い弟を助けるためには……、俺と弟の皇位継承権を廃して国外追放、両親は絞首刑。
結果、王が懐柔している臣下が俺の国の王となり、事実上国家は城ごと召し上げられたことになる。
俺が生きながらえたのは、シズの母親のおかげだ。なにやら王に殺意を抱いていたらしく、盲目の王を簡単に殺せた母親は、女王となり男を大々的に食いまくった。
真性の淫乱ぶりが発揮されたせいか、昔のような美しさが戻る。
本当に、男に愛され、その精を吸い尽くして生きる淫魔だったのなら、娘に邪念を抱いた王では用が足りず、命の危機にでもなったのか。
あの女は俺とナツを歴史上から抹殺し、だが生かせる条件として、女王の…餌という名の情夫になるか、駒という名の暗殺者になるか、或いは呪いを受けるかの選択肢を、俺達兄弟に突きつけたんだ。
俺は、シズと最後に会った時、泣きじゃくるあいつに言ったんだ。
迎えにいくから、待っていろと。
シズ――。
お前は、俺のことを覚えていないのだろうか。
女王によって忘れさせられたのか、お前自身が思い出したくないのか。
俺は死ぬわけにはいかなかった。
女王が不穏な目でシズを見ていることを知っていたから、女王の闇の動きを把握したいために、俺は女王お抱え"暗殺者"の道を選び、信用を勝ち取るために外界に蔓延(はびこ)る…女王に刃向かう者達を密やかに殺してきたんだ。
暗殺こそが、猟師として腕を磨いてきた俺の真の稼業――。
情夫にならなかったのは、お前以外を抱く気はなかったから。
それが俺なりの、毅然とした愛の表明だった。