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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
 
 もう、限界だった。

 これ以上触れながら我慢していたら、シズを犯しちまいそうで。


 どうでもいいような他の女とシズは違うんだ。

 俺は、シズを愛しているから。

 どこまでも深く、時に動物のように愛し合いたいから――。
 

 一度距離を置かないと、俺は暴走してしまう……、そこまで切羽詰まった時に、女王に気づかれたお前の存在。

 俺もまた、標的とみなされた。


 山に放たれる兵士。

 幸い、シズがどこにいるのか把握はしていないみたいで、俺が事前に片付けることはできた。

 だが兵士は続々と山狩りに来て、このままでは埒があかない。


 山に放たれる探索犬。

 その嗅覚を押えるためには、女王も使っているあのきつい匂いの香水がいいと聞き、ナツを飛ばして空中から散布させた。


 もう少し。

 もう少したてば、お前とここから逃げられる。


 布石は打っている。

 明日、その効果が出るんだ。


 なぁ、シズ。


 あのキスの意味はなんだったんだ?

 震えていた唇。ただの挨拶ではねぇんだろう?


 その理由、戻ったら聞かせてくれ。

 もう俺も限界なんだ。

 お前に触れずに、究極的に自制していたツケに、狂いそうだ。


 なぁ。

 不穏な要素がなくなったのなら、お前に素直に言いたい。


 愛してると。

 昔から、お前の心が欲しくてたまらなかった。


 もしもお前も、俺を想ってくれているのなら。


 なぁ、シズ。


 お前を抱きたい。 

 俺のものだという証拠が欲しい――。



 俺の未来は明るくなる……、そんな期待とは裏腹に、ざわざわと悪寒のようにざわつくこれはなんだ?


 シズ……、無事だよな?

 ちゃんと小屋にいるよな。


 慌てて戻った小屋。



 そこにあったのは、小さな紙切れ。




 "今までありがとう。さようなら"



 俺は――、




「シズ――っ!!」



 仰け反るようにして、慟哭した。


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