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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
気が緩めば、ハルの名を呼んで助けを求めたくなる。
ハルは来てくれるだろうか。
来てくれるわけがないじゃないか。
ハルは今きっと、あたしの知らない女と一緒で、あたしに魅せたあの笑顔を向けている。
そしてきっと、あたしが許さなかった先をしているんだろう。
あの甘えたような艶ある声で囁いているのだろうか。
"お前が欲しい"と。
あたしではない、ハルが愛おしく思う女に――。
「――っ」
ねぇ、ハル。
胸がぎゅうぎゅうと締め付けられて痛いよ。
あたしだけにしてと言いたいよ。
幸せに、なんて嘘。
あたしは他の女と幸せになるハルを祝福出来ない。
ああ、なんて醜い女だろう。
勝手にのぼせて勝手に嫉妬して。
ただ救いがあるというのなら、こんな浅ましいあたしをハルに見られなくてよかった。ハルに今以上嫌われなくてよかった。
「ハル……」
唇から漏れたその名は、胸を熱くするのにこんなに苦しくさせる。
掻き抱いた己の胸から、想いが破裂しそう。
「ハル……っ」
ああ、ハルへの未練が断ちきれない。
あたしはまだこんなにもハルを求めている。
あの声で、「大丈夫なにも心配することはない」と言って貰いたい。
あの体で、恐ろしいものはなにもないのだと信じさせて貰いたい。
それなのに――。
「知っているか、女王の愛人」
「ああ、姫の暗殺を受けていたどこぞの猟師の?」
どくん。
不穏な会話が流れてきて、あたしの心臓が大きく脈打った。
"姫の暗殺を受けていたどこぞの猟師"
ハルは――。
"女王の愛人"