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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
「姫を殺し損ねたから、怒った女王が俺達を使って、姫諸共消そうとしているんだよな」
「ああだけど。もし奴が"期限"までに姫の首を届けられたら。あいつは許され、さらには願いを叶えられるんだろう?」
ねぇハルは――。
「期限は明日。明日、奴を出し抜かせるものか。その前に殺そう」
「ああ。奴の居場所はどこだ!?」
ぽつり。
水滴があたしの頬に落ちてきた。
ねぇ、ハルは――。
ぽつり、ぽつり。
……雨。太陽を隠した鈍色の空には、暗雲が立ちこめている。
「シズ――っ!!」
突如木の葉が揺れて現れたのは、
銃口を向けてあたしを狙っていたハル。
狩人の如き鋭い目に、明白な殺意を宿して――
引き金の指がゆっくり動いた。
響く、銃声。
鼻に漂う、火薬の匂い。
激しくなる雨が、残酷な現実の証拠だけを全て洗い流す。
ハル……、あたしを狙ったんだ。
本当に殺す気だったんだ?
あたしからそれた銃弾、だけどあたしの心には命中した。
ハルとの思い出が、ハルへの想いが。
ハルの銃弾によって木っ端微塵に打ち砕かれた。
そして、あたしの中に残るものはなに?
残るものは……。
「シズ、来いっ!!」
ハルへの恐怖。
「嫌あああああああ!!」
あたしの頭の中はぐちゃぐちゃで、とにかくハルから逃げたいと。
あんなに会いたくて守って貰いたかったハルから逃げようと。
ただそれしか考えられなかった。
恐い、恐い、恐い、恐い!!
「シズ、待て!!!」
あたしは逃げたんだ。
泣きながら。