この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
 

 男は自らの外套を脱ぐと、あたしに着せてくれた。


「寒くないか? ああ、こんなに…綺麗な顔が汚れて」


 そして上質な服を破くと、あたしの頬を拭く。

 まるで城の中での侍従のように、甲斐甲斐しい世話をしてくれる。


 冷えた体に男の手は温かくて、涙が出た。


「ありがとう……」


 涙に気づいたらしい男の手がぴくりと震え、気づけば切ない眼差しをしながら男はあたしを見つめ、そしてその手であたしの震える手を握った。


 ああ、温かい――。


「あなたは誰?」


 すると男は、哀しげに顔を歪めた。


 今さらながらだが、この男もかなりの美形だった。

 すらりとした体躯で理知的に整った――、一見冷たそうにも思える端正な顔だち。だが、男が温かいことは握ったままの手から伝わる。


「……あれだけ長く城にいたのに、俺のことは…覚えてないんですか」


 泣き出しそうにも見える憂えた顔に、あたしは首を傾げた。

 城の中……?

 これだけの美形なら、お母様の傍にいたのだろうか。正直、いまいち城でのことは思い出せない。つい最近まで住んでいた城でのことなのに、詳しく思い出そうとすると、頭の中に白い靄がかかったように見えなくなるのだ。


「ごめんなさい、よくわからない……」

「そう、ですよね。あなたは姫だし……思い出されても、いいことはないし」


 自嘲気な小さな笑いに、胸を突かれる。


 どこかで馬の嘶く音がして、あたしは追手の到来かと身構えた。


「俺の馬です。これから、国に帰らなくてはいけなくて。ちょっと知り合いに挨拶に行ったら、あなたがいなくなったと聞いて…」

「知り合い?」

「ハルさん、です」


 どくん。


 あたしの心臓は縮み上がる。


「ハルの……知り合い?」


 警戒心が沸き上がる。


「はい。ハルさんにお世話になっているものです」


 顔に浮かぶは、純粋なる敬意。


 だとすれば――。

/779ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ